離婚をして気付かされたこと

私の知り合いが数年前、離婚をした。離婚をした夫婦の知り合いは他にもいくつかいるが、この夫婦の離婚は個人的に衝撃的だった。実際のことは夫婦にしか分からないなどとよく耳にするが、この夫婦に関しては本当に離婚など考えられないくらい仲がよかったからだ。

とは言っても、正式に離婚が決まった時にこのような結果になることが全く予想つかなかったわけではなかった。

夫のAさんは、とある有名な会社に勤めていた。所謂、エリートだった。そんな夫を妻のBさんは会うたびよく自慢をしていた。そんなAさんとBさんを羨ましく思っていたが、AさんもBさんも非常に明るく人柄のよい性格だったので嫌な気分は全くなく、むしろいつも楽しく話を聞いていた。

ところが、そんな私に衝撃的な知らせが届いた。Aさんがリストラされてしまったのだ。

リストラされたという話を聞いて暫くしてから、私はAさんに会う機会があったのだがその時のAさんはそれまでの明るい人柄からは想像つかないほど表情が暗くびんとしていた背中も丸まってしまっていた。

それから更に暫くして、BさんからAさんが鬱病であることを聞かされた。BさんはAさんを支えようという意思が固く、その後会った時もトイレに自力で行けなくなったAさんを嫌な顔せずトイレへ連れていくなど、私はBさんのAさんに対する愛情にただただ感心していた。

ところが、Bさんの症状は悪化していく一方だった。自力で外へ散歩に出かけるようになったと聞いていたので、てっきり回復に向かっているのだと安心していたら勤務していた時に矯めていたお金で使う道もない高価な電化製品をBさんに内緒で購入するようになった。

Bさんはすぐさま忠告をしたが、Aさんの衝動買いは加速する一方でとうとう貯金も底をついてしまった。
しかしAさんは無職、Bさんはもともと専業主婦だっためもはや生活していくことすら困難になってしまった。
ついに、Bさんまで精神的に病んでしまった。

私と私の知人も呼んで、Aさん夫婦の今後について話し合うことになった。まずは、今はお互い精神の治療が最優先であるという話になった。では、治療が終わったらどうするか?Bさんに今後もAさんを支えていく意思がなかった。

かつてのような明るくハキハキとした表情は見受けられないものの、Bさんの離婚の意思だけははっきりとしていた。もうそこには、以前のBさんはいなかった。
本人たちがどれだけ辛い思いをしたかは計り知れない。

しかし、どれだけ仲のいい夫婦でもひとつのことをきっかけにそれまで築き上げてきたものが一気に崩れ去ってしまうことが現実問題起こりうるのだと私はその時改めて気付かされた。